看護研究の意義

なぜ、臨床において看護研究をするのでしょうか?

 看護研究の意義・必要性について、全国の看護管理者が考える看護研究の意義について、宮芝(2012)が雑誌『看護研究』に示しています。100床以上 の病院(1625施設)の看護研究の意見で多かったものは、
@ 「当該病院の看護実践、業務の点検・評価」、A「看護・医療の質の維持・向上」
の2つでした。

看護研究は本来”看護の質の向上”に貢献するものと言われています。
臨床で行う看護研究には
 @「研究目的を明確にし、業務改善を行うことによる看護の質向上」
   業務研究等の取り組みを研究的な視点で行う
 A「実践している看護の評価をもとに新たな看護を創造したり、看護の質向上を図る」
   ”看護の質の向上をはかる知の創造”として研究に取り組む
という、2つの意味が含まれています。

 @は、臨床で多く行われています。研究の順番になったので何とかまとめて報告しようとすると、目の前の業務に視点がいってしまい、十分検討 しないでテーマを決めてしまいます。「みんながどう思っているか聞いてみよう」とアンケートをしたり、インタビューをしたりして、その内容をまとめます。 看護部にもっていくと、「研究じゃない。看護がないじゃないの?」など、厳しい言葉を受けることが多くあります。業務の改善や病棟で行っている看護実践を まとめるだけの研究は、時に看護研究ではないと評価されることがあります。また、院内の発表や報告が終わるとすべて終了?となってしまうことが多いのも、 業務改善と称する研究の類です。

 業務改善の取り組みそのものが悪いわけではありませんが、研究的な視点をもって進められると、結果の活用や看護の質評価まですすめることができます。 テーマ設定、研究デザインなどに時間をかけて、何を明らかにしたいのか「研究疑問」を はっきりさせて、取り組むことが研究につながります。

 Aは、看護研究本来の目的ですすめる内容です。研究の力を身につけ、研究の質向上をはかることで、新たな知の創造につながります。
慣例的に行っていた看護をエビデンスを明確にして評価し直し、科学的な看護の実践につなげることが看護研究です。衣装の進歩・発展が問われていますが、看 護もさらに発展させ、患者のニーズにそった看護の提供が求められます。安全・安楽そして安心できる療養、そしてその人らしい生活を提供するための工夫が必 要です。工夫するための活動が知的活動である研究です。看護において知の創造を生み出すことが、研究本来の目的を達成することにもなります。

 
ケアの 質向上へ向けた看護研究ハンドブック2015年度版
(名桜大学 看護実践教育研究センター)より抜粋